※このシリーズで使用される写真はすべて2013年以前のものです。

日本語教育体験談inネパール

ネパール人留学生に日本語を教えたことはありますか。

ネパールは中国とインドに挟まれたところにあり、時間がゆったりと流れている国で、そこに暮らす人々は人懐こく、優しくて、私の好きな国の一つです。

不法滞在や偽装難民申請などいいイメージをお持ちでない方もいらっしゃるかと思いますが、ネパールのことをこれから何回かにわたって、私が数年前ネパールで日本語教育に携わっていたときの経験や体験をもとに、皆さまにお伝えしたいと思います。あくまで私一個人が見たネパールの一面であるということをご理解いただいた上でお読みいただけたらと思います。

また、ネパール人学生と仲良くなる話のネタに使えそうなヒントが私の記事の中にあればぜひお使いください。(もしかしたら、先生、違うよ。とか言われるかもしれませんが笑)

たくさんの言葉と民族が生きる国

ネパールは多言語、多民族国家です。民族によってそれぞれの言葉がある非常に面白い国です。今はテレビやケータイ、インターネットがありますから、学校に行って初めてネパール語に触れるという子どもも少なくなっているとは思いますが、それでもまだ学校に行っていない(行けない)子どもたちもいます。

来日している留学生の中にも、ネパール語があまり上手じゃないネパール人もいます。会話はできますが、ネパール語を書くと、ほかのネパール人に笑われるから書きたくないというネパール人もいます。

自分の民族の言語を持っていながら、学校ではネパール語、英語、場合によっては中国語も勉強している彼らは、日本人よりも世界で戦う能力を得るチャンスに恵まれた環境にあるのかもしれません。

来日前のネパール人留学生の心

ネパールには、首都カトマンズや観光地のポカラはもちろん、国内に多くの日本語学校があります。しっかりと日本語を教えているところもありますが、一方で、授業しているのだろうかと疑問に思う学校があるのも事実です。

多くのネパール人が日本でいう、専門学校や大学の在学期間中に、または卒業後の道として一度はどこかの国に留学したいと考えます。(自分の国にはない人生のチャンスをつかみたいと考えているからです。留学ではなく、出稼ぎという選択肢もあります。)

その中で、インターネットや2000年代以降も常に増え続けている在日ネパール人たちから、「日本はいい国だ。すごくきれいだ。日本人は親切だ。」などの情報を得たり、日本語学校の職員から日本の話を聞いたりすると、ますます日本への期待と行きたいという思いだけが膨らむことでしょう。

来日後の壁

皆さんもご存知の通り、思い描いた日本での生活を実現させることはとても大変なことです。ネパール人留学生が最初に感じる大きな問題は、言葉でも文化でもなく、経済的な問題ではないでしょうか。

この問題を解決するために週28時間のアルバイトが許されていますが、働きながら、学校へ行って、宿題をして、また働く…。

果たして、来日前に日本で生活をすることがどれほど大変なことかという話を、彼らが聞く機会があるのでしょうか。ネパールに限らず、留学生たちには覚悟を持って来日してほしいですし、その覚悟を持った彼らが損をしないよう、日本社会側も変わらなければならないところがあるということにも気づいてほしいです。

②へ続く