パブリックコメントとは

2022年1月25日に、日本語教育機関の告示基準の一部改定についてのパブリックコメントの募集が開始されました。

日本語教育機関の告示基準の一部改定について(意見募集)

パブリックコメントとは、国の行政機関が命令等(政令、省令など)を定めようとする時に、事前に広く一般から意見を募集し、その意見を考慮することによって、行政運営の公正さの確保と透明性の向上を図り、 国民の権利利益の保護に役立てることを目的としています。集められた意見は、公示されます。

意見募集要領

今回意見を募集しているのは大きく分けて以下の4つの項目です。

⑴学則に必要な項目として「健康診断の実施」の追加

これまでも告示基準にはないものの、入管の書式の中に健康診断について記載する欄はありました。今回、告示基準の中で、健康診断について学則の中に記載するよう変更となりました。

現在も、各自治体が行っている結核診断の受診について、記載すればOKのはずです。

厚労省が外国からの結核流入を警戒しており、2年前に結核患者が多い国からに対して、入国時にスクリーニングを行うと発表されたのも関係あるのかもしれません。

入国前結核スクリーニングの実施について

⑵校地及び校舎の所有権に係る基準の例外規定の追加

今回告示基準から削除される項目に

設置者の運営により20年以上継続して留学生受入れ事業を行っている日本語教育機関であって,今後も校地(校舎)の確保に支障がないと認められるものであるとき。

とあります。これは、原則校地校舎ともに自己所有でなければ日本語学校を開校、運営できないのですが、20年以上継続して留学生受入事業を行なっている日本語学校は校地校舎は自己所有でなくてもOK、つまり賃貸物件による日本語学校の運営が可能というものです。

この項目が今回大きく変わり、設置者が地方公共団体である場合、または

  • 教育機関(日本の大学,高専,高校、中学校、小学校) 等
  • 特別支援学校の高等部,中学部、小学部 等
  • 専修学校
  • 各種学校
  • 設備及び編制に関してこれらに準ずる機関(告示校の日本語学校を含む)

10年以上継続して運営している場合、校地校舎は自己所有でなくてもよいことになります。

これは新規参入がしやすくなる規制緩和です。

⑶「日本語能力の参照枠」の適用

日本語学校は、各コースが終了したあと、そのコースを修了した学生の日本語能力が、CEFRのA2相当にあるという証明を入管に報告する必要があります。

日本語能力に関しCEFRのA2相当以上のレベルであることを証明するための試験

今回、これまでコース修了時の日本語能力の要件について、CEFRのA2相当であったものが、日本語教育の参照枠のA2相当以上と変更になりました。

日本語教育の参照枠 報告

正直なところ、日本語学校の実務的には特に何も変わらないのではと思います。

⑷専任教員数に係る経過措置の延長

令和4年10月から、これまで学生定員60人につき、1名の専任教員の配置が必要だったものが、40人につき、1名の専任教員の配置が必要となる予定でした。

例:定員500人の学校

  • 今まで→専任講師が9人必要
  • 変更後→専任講師が13人必要

この措置が、今般の状況を鑑み、適用が一年延期となる案が出ています。

パブリックコメント募集の締切

意見募集の締切は2022年2月23日(火)です。応募方法はこちら

またこの改定案はこれまでの前例か等見るに、今年の夏ぐらいまでには施行されるのではと思います。