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解説

外国人支援コーディネーターとは 38都道府県・162人に広がる国の認証制度と、日本語教師との接点

公開 2026年9月11日 更新 2026年9月11日 分類 在留・入管/教員資格

入管庁が認証する外国人支援コーディネーターは162人となり、所属先は38都道府県に広がりました。今年度中に約300人となる見込みで、来年度からは就労先・就学先などにも活動の場を広げる予定です。国家資格ではなく、養成研修の受講には外国人相談窓口での実務経験が必要で、登録日本語教員では免除されません。

時事通信は2026年9月7日、外国人支援コーディネーターの配置が38都道府県に広がり、入管庁が評価の在り方や待遇改善の検討を進めていると報じました。「外国人支援コーディネーター」という名前は日本語教育の現場でも聞く機会が増えましたが、何をする人で、どうすればなれて、日本語教師とどう関わるのかは、まだあまり整理されていません。この記事では、入管庁の公表資料にもとづいて制度の全体像を確認したうえで、日本語教育に関わる読者にとっての意味を整理します。

外国人支援コーディネーターとは

外国人支援コーディネーターは、入管庁の定義では「生活上の困りごとを抱える外国人を適切な支援につなげることのできる人材」です。自分がすべての問題を解決するのではなく、在留手続・労働・福祉・医療・教育といった分野をまたぐ相談を受け止め、適切な窓口や専門家に「つなぐ」役割です。2022年6月に閣僚会議が決定した「外国人との共生社会の実現に向けたロードマップ」に育成・認証の構築が盛り込まれ、令和6年度から養成研修が始まりました(一次資料1・5)。

国家資格ではありません。養成研修と修了認定テストを経た人を入管庁が認証する仕組みで、法律上の業務独占や名称独占もありません。ここは誤解が多いところです。なお、ロードマップが挙げる「適切な支援」の例には、就労や生活の支援と並んで「ニーズやレベルに応じた日本語の学習のための支援」が明記されています。外国人を日本語教育につなぐことが、この制度の設計段階から役割の一部とされているということです。

数字で見る現在地

認証された人は、令和6年度の52人と令和7年度の110人を合わせて162人です(一次資料2・4)。入管庁が公表している所属機関リスト(令和8年8月7日現在)を数えると、所属先があるのは38都道府県で、時事通信の報道と一致します。リストにないのは岐阜・奈良・鳥取・島根・岡山・香川・長崎・宮崎・沖縄の9県です。所属先は国際交流協会や自治体の相談窓口が中心で、学校はほとんど登場しません(一次資料4のリストで自地域の認証者の所属機関を確認できます)。時事通信によると、コーディネーターは今年度中に約300人になる見込みです。入管庁の概要資料にも「令和8年度までに、一元的相談窓口等に所属する職員を優先して、300名程度」を育成・認証する予定とあり、令和8年度の定員(各期60人・年2期)とも整合します(一次資料3)。

令和6年度 養成研修が開始 認証52人 令和7年度 累計162人 38都道府県に 令和8年度 300人程度へ 相談窓口の職員を優先 令和9年度〜 就労先・就学先など 民間にも拡大(予定)
育成・認証の広がり(令和9年度以降の拡大は入管庁の概要資料による予定)

どうすればなれるのか

項目内容
受講要件研修開始日から直近5年以内に、外国人相談窓口での相談対応者としての在職期間が1年以上あり、かつ在職期間中の従業日数が年180日以上
実務経験の免除社会福祉士・精神保健福祉士・公認心理師・キャリアコンサルタント・キャリアコンサルティング技能士(1級・2級)の5資格の保有者は実務経験が免除
研修の構成オンライン研修(約2か月)→実践研修(約3か月)→集合研修(2日間)
定員令和8年度は各期60人・年2期(募集はいずれも終了)
認証研修修了後、修了認定テストに合格すると入管庁が認証。国家資格ではない
有効期間認証期間は3年。時事通信によると、来年度から更新研修を行う予定

日本語教師の視点で重要なのは2点です。第一に、登録日本語教員は実務経験の免除資格に含まれていません。免除されるのは上の5資格だけです。第二に、受講の入口は「外国人相談窓口での実務」です。授業経験がどれだけ長くても、相談業務の従事実績がなければ受講要件を満たしません。逆に、国際交流協会や自治体の相談窓口で働く日本語教師・地域日本語教育コーディネーターであれば、要件に届く可能性があります。令和8年度の募集は締め切られているので、関心がある場合は令和9年度の募集要項(未公表)を待つことになります。

評価と待遇はこれから

時事通信によると、入管庁は専門性に見合った評価の在り方を検討しており、諸外国の事例も踏まえて今年度中に方向性を示す予定です。課題は認知度と待遇で、入管庁の担当者は「人材確保には仕事の意義を訴えるだけでは難しい」と話したと報じられています。検討会では国家資格化の是非も議論されてきましたが、ドイツ・カナダ・韓国にも外国人支援の専門人材はいるものの資格制度はなく、国家資格化には法整備が必要なため、入管庁は妥当性を見極めて判断するとされています。入管庁側でも「外国人支援コーディネーターの養成の在り方等に関する検討会」が続いており、2026年2月の第11回では養成研修の見直しが議題になりました(一次資料6)。認証されても手当や配置基準が定まっているわけではない、という現状の裏返しでもあります。

そして日本語教育の読者に一番関係が深いのはここです。現在、コーディネーターが支援する場所は国や自治体などの相談窓口に限られていますが、入管庁の概要資料には「令和9年度以降、外国人の就労先・就学先など、外国人からの相談に対応する民間団体等にも対象を広げていく予定」と明記されています(一次資料3)。時事通信の報道も同じ方向で、日本経済新聞も2025年3月に、企業や学校に置く支援人材の養成を2027年度から始める方針だと報じています。「就学先」に日本語教育機関が含まれるのか、配置の枠組みや費用負担がどうなるのかは、まだ公表されていません。

日本語教育の現場にとっての意味

日本語学校・認定日本語教育機関にとって、この制度は「自校で抱え込まない」ための資源です。学生の生活相談は、在留・労働・医療・福祉が絡むと教職員だけでは対応しきれません。自地域に認証者がいるか、どの機関に所属しているかを所属機関リストで確認しておくと、いざというときのつなぎ先になります。また、日本語教師のキャリアという面では、授業以外の「相談・コーディネート」の職域に国の認証がついた初期段階だと言えます。待遇や配置の制度設計はこれからですが、令和9年度以降に活動の場が就学先などにも広がる予定である以上、学校に置く動きが出てくる可能性はあります。ただし受講の入口は相談業務の実務経験なので、関心がある人は経験を積む場を先に確保する必要があります。

実務への持ち帰り

  • 自地域の認証者の有無と所属機関を、入管庁の所属機関リスト(一次資料4)で確認しておく。
  • 学生の生活相談で分野をまたぐ案件は、認証者のいる相談窓口へのつなぎを選択肢に入れる。
  • 資格取得に関心がある場合:登録日本語教員では実務経験は免除されない。外国人相談窓口での従事実績(1年以上・年180日以上)が入口になる。
  • 令和8年度の研修募集は終了。次回募集は令和9年度の公表を待つ。
  • 令和9年度以降、就学先などへの対象拡大が予定されている。学校への配置の枠組みが公表されたら確認する。

この記事の数字のうち、認証者162人(令和6年度52人+令和7年度110人)・38都道府県・未配置9県・定員各期60人・令和9年度以降の就労先・就学先などへの対象拡大は、入管庁の公表資料で確認した値です。修了認定テスト・認証期間3年・今年度中に約300人・評価の方向性を今年度中に提示、は時事通信の報道(2026年9月7日)によるものです。制度は検討会で見直しが続いているため、受講を検討する場合は必ず最新の募集要項をご確認ください。

一次資料

  1. 外国人支援コーディネーターの育成・認証等(出入国在留管理庁)
    www.moj.go.jp/isa/support/coexistence/04_00038.html
  2. 外国人支援コーディネーター養成研修(出入国在留管理庁)
    www.moj.go.jp/isa/policies/coexistence/04_00076.html
  3. 外国人支援コーディネーター育成・認証の概要について(出入国在留管理庁・PDF 286KB)
    www.moj.go.jp/isa/content/001460449.pdf
  4. 外国人支援コーディネーターの所属先・所属機関リスト(出入国在留管理庁)
    www.moj.go.jp/isa/support/coexistence/04_00092.html
  5. 外国人との共生社会の実現に向けたロードマップ(外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議・2022年6月14日)
    www.moj.go.jp/isa/content/001397443.pdf
  6. 外国人支援コーディネーターの養成の在り方等に関する検討会(第11回)(出入国在留管理庁)
    www.moj.go.jp/isa/support/coexistence/04_00106.html

この解説は2026年9月11日時点の公表資料にもとづいています。制度は変わることがあるため、判断の際は必ず上記の一次資料をご確認ください。内容の正確性や当社の見解を保証するものではありません。

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