同一労働同一賃金が10月改正 非常勤講師も「待遇差の説明」を求められる明示が義務に、規模を問わず適用
10月1日からパートタイム・有期雇用労働者のルールが変わります。雇入れ・契約更新時の労働条件通知書に「待遇差の説明を求めることができる旨」の明示が義務になり(違反は10万円以下の過料)、同一労働同一賃金ガイドラインに退職手当・家族手当・住宅手当などが加わります。企業規模を問わず適用されるので、非常勤講師を雇う日本語学校はすべて対象です。
何が変わるか 10月1日から
正社員とパートタイム・有期雇用労働者の不合理な待遇差を禁じる「同一労働同一賃金」のルールが、令和8年10月1日に改正されます(改正省令・告示は4月28日公布)。日本経済新聞も9月12日付でこの改正を取り上げています。変わるのは大きく2つです。
第一に、雇入れや契約更新のときに渡す労働条件通知書などの書面に、「待遇の相違等に関する説明を求めることができる旨」の記載が義務になります。従来からの明示事項(昇給・退職手当・賞与の有無、相談窓口)に加わる形で、違反した者は10万円以下の過料に処されます。待遇差の説明義務自体は従来から法にあり(求めがあれば事業主は説明しなければならない)、今回は「求められること」を働く側に書面で知らせる仕組みが加わります。
第二に、どんな待遇差が不合理かの考え方を示す「同一労働同一賃金ガイドライン」(告示)に、退職手当・家族手当・住宅手当・夏季冬季休暇などの記載が新たに加わります。これまで「正社員のもの」と考えられがちだった待遇について、考え方が明文化されます。
零細の日本語学校も対象か
対象です。根拠法であるパートタイム・有期雇用労働法は、2020年4月1日に大企業、2021年4月1日に中小企業にも適用されて全面施行となっており、現在は企業規模による適用除外はありません。学校法人立・株式会社立・個人立を問わず、パートタイムまたは有期雇用の労働者を雇う事業主に適用され、今回の改正にも規模の限定はありません。
日本語学校で対象になるのは、週の所定労働時間が専任教員より短い非常勤講師(パートタイム労働者)と、契約期間に定めのある教職員(有期雇用労働者)です。待遇差の比較対象は、同じ学校(事業主)の通常の労働者、つまり専任の教職員です。
学校側が10月までにやること
- 10月以降の新規採用・契約更新から、労働条件通知書に「待遇差の説明を求めることができる旨」の記載が必要。厚労省のモデル労働条件通知書に差し替えるのが早い。記載漏れは10万円以下の過料。
- 専任と非常勤・有期の手当・休暇の一覧を作り、差があるものは理由を説明できるか点検する。今回ガイドラインに加わった退職手当・家族手当・住宅手当・夏季冬季休暇は特に。
- 説明を求められたら説明する義務は従来からある。説明できる根拠を文書化しておくと、更新時期の質問に追われない。
教師の側からはどう使えるか
雇入れや更新のときに受け取る労働条件通知書で、昇給・退職手当・賞与の有無とあわせて、待遇差の説明を求められることが書面で確認できるようになります。専任との待遇差の内容と理由の説明を求めることは従来からの権利で、日経の記事は、説明を求めたことを理由にシフトを減らすなどの不利益な扱いは法律が禁じていると指摘しています。会社の説明に納得できない場合の相談先は都道府県労働局です。
なお、ガイドラインはどういう待遇差が不合理と考えられるかの考え方を示すもので、それ自体に罰則はなく、個別の待遇差が不合理かどうかの最終的な判断は裁判に委ねられます。手当を何のために支給するかは学校ごとに違うので、まずは目的・性質の確認からです。
あわせて最低賃金の確認も
同じ10月から、令和8年度の地域別最低賃金が都道府県ごとに順次発効します。中央最低賃金審議会の目安(7月28日答申)は、目安どおりに引き上げられた場合の全国加重平均で1,176円(上昇額55円・引上げ率4.9%)で、実際の額は各都道府県労働局長が決定します。コマ給や月給の非常勤は時給が見えにくいので、日経の記事が示すとおり、通勤手当などを除いた固定給を所定労働時間で割って時給換算し、地域の最低賃金と比べるのが確実です。
改正の内容(明示事項の追加・過料・ガイドラインへの追記・施行日・適用範囲)は厚労省の公表資料で確認しています。「説明を求めたことを理由とする不利益取扱いの禁止」は日本経済新聞の記事(2026年9月12日)による記述です。個別の雇用契約の扱いは、社会保険労務士などの専門家や都道府県労働局に確認してください。
一次資料
- 厚生労働省リーフレット「パートタイム・有期雇用労働者に関するルールが変わります」(令和8年10月1日施行・PDF)
www.mhlw.go.jp/content/001698012.pdf - 厚生労働省「同一労働同一賃金ガイドライン」
www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000190591.html - 厚生労働省「同一労働同一賃金特集ページ」
www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000144972.html - 島根労働局「パートタイム・有期雇用労働者に関するルールが改正(令和8年10月1日施行)」
jsite.mhlw.go.jp/shimane-roudoukyoku/rulekaisei_2607.html - 厚生労働省「令和8年度地域別最低賃金額改定の目安について」
www.mhlw.go.jp/stf/newpage_74920.html
この解説は2026年9月12日時点の公表資料にもとづいています。制度は変わることがあるため、判断の際は必ず上記の一次資料をご確認ください。内容の正確性や当社の見解を保証するものではありません。
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