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解説

カスハラ対策が10月1日から義務化 日本語学校も対象、学生・保護者からの著しい言動に何をすべきか

公開 2026年9月18日 更新 2026年9月18日 分類 学校運営

10月1日からカスハラ対策が業種・規模を問わず全事業主の義務になる。日本語学校も対象で、学生や保護者からの著しい言動に方針の明確化・相談体制・事後対応が要る。求職者や教壇実習の実習生へのセクハラ対策も同時に義務化される。

2026年10月1日から、カスタマーハラスメント(カスハラ)対策が事業主の義務になる。根拠は改正労働施策総合推進法(令和7年法律第63号・令和7年6月11日公布)で、具体的に何をすべきかは令和8年2月26日に告示された指針(令和8年厚生労働省告示第51号)が定めている。対象は業種・規模を問わずすべての事業主。教職員を雇用する日本語学校も例外ではない。

日本語学校の「顧客等」は誰か

法上のカスハラは、①顧客等の言動であって、②業務の性質その他の事情に照らして社会通念上許容される範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるもの、の3要素で定義される。「顧客等」は顧客、取引の相手方、施設の利用者その他の事業に関係を有する者とされ、施設の例示には駅や病院と並んで「学校」が明記されている。

日本語学校に当てはめると、授業料を払う学生は顧客であり施設利用者でもある。保護者や学費の支弁者、在籍契約や紹介手数料の取引関係にある紹介エージェントも「取引の相手方」「事業に関係を有する者」に入りうる。カスハラという名前から「客からの迷惑行為」を想像しやすいが、定義は「顧客」とは別に「取引の相手方」を立てており、金銭をどちらが払うかで対象を切っていない。学校が手数料を支払う側であっても、エージェント側担当者の言動は対象になる。教師や事務職員に対する、執拗な要求の繰り返しや威圧的な言動が、社会通念上許容される範囲を超えて就業環境を害すればカスハラに当たる。

逆に、授業や対応への正当な苦情・要望はカスハラではない。定義の要は「社会通念上許容される範囲を超えた」かどうかであり、苦情そのものを拒む制度ではない。厚労省はWebマガジンで、障害のある人が不当な差別的取扱いの禁止を求めることはカスハラに当たらないという例も示している。

何をしなければならないか

指針が求める雇用管理上の措置の柱は次のとおり。

事業主としての方針の明確化と教職員への周知・啓発。カスハラから従業員を守る方針を示し、相談してよいことを知らせる。相談体制の整備。相談窓口と担当者を定め、適切に対応できるようにする。事後の迅速かつ適切な対応。事実確認、被害を受けた教職員への配慮措置、再発防止。あわせて、相談者のプライバシー保護と、相談したことを理由とする不利益取扱いの禁止の周知、カスハラ抑止のための措置も求められる。また、自社の従業員が他社に対してカスハラを行った場合に、先方からの協力要請に応じるよう努めなければならないとされた。学校の職員がエージェントや取引先の担当者に対して行えば、学校がこの努力義務の側に立つ。

日本語学校の現場でいえば、学生対応・保護者対応・エージェント対応の前線に立つ教務・事務の職員と教師が守られる側である。「学生はお客だから我慢する」という運用は、10月1日以降は措置義務違反のリスクを抱えることになる。

教壇実習の実習生などへのセクハラ対策も同時に義務化

同じ10月1日から、求職者やインターンシップ参加者、教育実習などの実習受講者に対するセクシュアルハラスメント対策も義務になる(改正男女雇用機会均等法・令和8年告示第52号)。採用面接を行う学校は求職者への対応が対象になり、養成課程の教壇実習を受け入れている学校では、実習生への対応もこの義務の対象になりうる。

該当箇所9月30日まで10月1日から
カスハラ対策事業主の義務ではない業種・規模を問わず全事業主の措置義務
就活等セクハラ対策雇用する労働者への措置義務のみ求職者・実習受講者などへの措置も義務
顧客等 学生(顧客・施設利用者) 保護者・学費支弁者 紹介エージェントなど 取引の相手方 言動 カスハラの3要素 ① 顧客等の言動 ② 社会通念上許容される 範囲を超える ③ 就業環境が害される 学校の措置義務(10/1〜) 方針の明確化・周知 相談体制の整備 事後の迅速・適切な対応 プライバシー保護・ 不利益取扱い禁止の周知 抑止のための措置 ※ 正当な苦情・要望はカスハラに当たらない(3要素を満たさない)
日本語学校に当てはめたカスハラ対策の構造(厚労省リーフレット・指針の内容に基づく整理)

実務への影響

  • 10月1日までに、カスハラへの対応方針を定めて教職員に周知する。
  • 相談窓口と担当者を決め、教職員が相談できることを知らせる。
  • 学生・保護者・エージェント対応の現場で、正当な苦情とカスハラの線引き(3要素)を共有する。
  • 採用面接や教壇実習の受け入れがある学校は、求職者・実習生へのセクハラ対策も同じ期日で整える。

措置の細目は指針(令和8年厚生労働省告示第51号)が定めている。本稿は厚労省のリーフレットと解説ページに基づく整理で、就業規則の改定要否など個別の実務判断は指針原文の確認を勧める。違反時の勧告・公表などの仕組みは本稿では確認できた範囲ではないため書いていない。

一次資料

  1. リーフレット「令和8年10月1日からハラスメント対策が強化されます!」(厚生労働省)
    www.mhlw.go.jp/content/11900000/001662576.pdf
  2. 職場におけるハラスメントの防止のために(厚生労働省)
    www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/seisaku06/index.html
  3. 従業員を守るために―カスタマーハラスメント対策の新ルール(厚生労働省Webマガジン)
    www.mhlw.go.jp/web_magazine/series/20260820.html

この解説は2026年9月18日時点の公表資料にもとづいています。制度は変わることがあるため、判断の際は必ず上記の一次資料をご確認ください。内容の正確性や当社の見解を保証するものではありません。

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