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解説

特定技能の給食、留学生の就職先候補に 外食業停止の中、変更可能な飲食料品製造業分野へ移す案を審議中

公開 2026年11月6日 更新 2026年11月6日 分類 特定技能・育成就労/在留・入管

報道された特定技能「外食業」の給食調理員の受入れ再開は、10月19日の有識者会議に示された案の段階で、分野別運用方針の改正(閣議決定)は11月6日時点でまだ行われていない。案の中身は、医療・福祉施設給食業等を外食業分野から飲食料品製造業分野へ移し、令和9年度から新規申請分を受け入れるというもの。留学から外食業分野への変更が原則不許可の状況は変わらない一方、移行先の飲食料品製造業分野は留学からの変更が止まっておらず、決まれば日本語学校卒業生の就職先候補になり得る(必要な試験の扱いは未確定)。

10月末から「特定技能の給食調理員、受入れ再開へ」という見出しの報道が続いている。もとになったのは10月19日に開かれた第15回「特定技能制度及び育成就労制度の基本方針及び分野別運用方針に関する有識者会議」で、ここで示されたのは改正の案である。分野別運用方針の改正は閣議決定で行われるが、入管庁の分野別運用方針ページの閣議決定欄は11月6日時点で令和8年1月23日が最新のままで、改正の決定はまだ出ていない。「もう再開した」「来春から外食業に行ける」と読むと、どちらも誤りになる。

案の中身 外食業分野に戻すのではなく、飲食料品製造業分野へ移す

会議資料2-2によると、対象は「医療・福祉施設給食業等(食材の下処理、非加熱・加熱調理等の一連の製造を行い、医療・福祉施設給食等を製造する業務)」。これまで外食業分野で受け入れてきたこの業務を、外食業分野の停止を解除する形ではなく、飲食料品製造業分野の対象に移して受け入れる。開始は「令和9年度から、緊急的措置として」で、新規申請分が対象になる。

受け入れられる事業所は、飲食料品製造業分野の上乗せ告示に産業分類を追加して特定する。追加されるのは、中分類81学校教育・82その他の教育、学習支援業・83医療業・85社会保険・社会福祉・介護事業を営む事業所のうち、小分類773施設給食業を営む場合。病院や福祉施設だけでなく、学校給食センターなど学校教育分野の施設給食も対象に含まれる。

該当箇所現行改正案
医療・福祉施設給食業等の受入れ分野外食業分野(新規は停止中)飲食料品製造業分野
新規申請の受入れ令和8年4月13日から停止令和9年度から受入れ(案)

背景として資料が挙げるのは給食現場の人手不足で、令和8年5月の有効求人倍率は、飲食物調理従事者2.15に対し、給食等調理員(学校給食除く)7.37、学校給食調理員2.36となっている。

医療・福祉施設給食業等の受け皿を移す案(令和8年10月19日 有識者会議) 外食業分野 店舗・社員食堂など 新規受入れは令和8年4月13日から停止中 受入れ見込数50,000人(変更なし) 医療・福祉施設給食業等 病院・福祉施設・学校等の施設給食 (産業分類773 施設給食業) 移行(案) 飲食料品製造業分野 セントラルキッチン・食品工場など 受入れ見込数133,500人(変更なし) 受入れ(案) 令和9年度から 新規申請分が対象 時系列 令和8年4月13日 外食業の新規 受入れ停止 令和8年10月19日 有識者会議で 移行案を提示 令和8年10月26日 運用要領別冊の改正 (再開措置ではない) 年内(報道) 運用方針改正の決定 令和9年度 飲食料品製造業分野で 新規申請分の受入れ(案)
給食受入れの移行案と時系列。破線は未決定の部分。「年内」の決定時期は共同通信・時事通信の報道によるもので、一次資料には書かれていない

動く数字は介護分野の2万人、外食業の枠は変わらない

報道に出る「2万人」は、同じ会議の資料1-1・資料3-2を読むと介護分野の中の配分変更である。介護は特定技能1号を126,900人から146,900人(+20,000)へ増やし、育成就労を33,800人から13,800人(-20,000)へ減らす。外食業分野は特定技能1号50,000人・育成就労5,300人、飲食料品製造業分野は特定技能1号133,500人・育成就労61,400人で、いずれも変更なし。19分野合計の1,231,900人も±0で維持される。給食の件は人数の付け替えではなく、業務区分と対象事業所の付け替えである。

留学生の進路はどうなるか

在留資格「留学」から特定技能1号(外食業分野)への変更申請は、令和8年4月13日以降に受理された分が原則不許可のままで、今回の案はこれを解除するものではない。入管庁が10月19日に掲載した審査状況によると、処理が進んでいるのは、在留資格認定証明書の交付が受付日令和8年2月6日までの申請分、変更許可が技能実習(医療・福祉施設給食製造作業)と特定活動(特定技能1号移行準備)からは9月30日受付分まで、それ以外の在留資格からは4月12日受付分まで。認定証明書交付申請は令和8年10月16日時点の速報値で、2月7日〜28日受理分732件、3月受理分1,825件、4月1日〜12日受理分4,804件が申請中として残っている。

一方で、移行先の飲食料品製造業分野は、留学からの変更申請が止まっていない(停止措置の対象は外食業分野のみ)。案のとおり決まれば、外食業分野が止まったままでも、施設給食の調理という外食に近い仕事への経路が飲食料品製造業分野の側に開くことになり、日本語学校卒業生の就職先候補になり得る。ただし、必要な試験の扱い(飲食料品製造業分野の技能測定試験が必要になるのか、外食業特定技能1号評価試験の合格を使えるのか)は会議資料に記載がなく、告示・要領の改正を待たないと確定しない。

なお、10月26日付で外食業分野の運用要領別冊が改正されているが、これは令和8年1月23日閣議決定の分野別運用方針や育成就労制度に合わせる改正で、受入れ停止の解除や給食の受入れ再開を定めたものではない。

実務への影響

  • 留学生から特定技能1号(外食業分野)への変更申請は原則不許可のままで、今回の案では変わらない。
  • 移行先の飲食料品製造業分野は留学からの変更が止まっていないため、決定されれば施設給食は卒業生の就職先候補になる。ただし必要な試験の扱いは未確定。
  • 給食の受入れが始まる場合も受け皿は飲食料品製造業分野になるため、求人・支援の場面では分野名の読み替えが必要になる。
  • 開始は早くて令和9年度の新規申請分から。決定(分野別運用方針の改正)はまだ出ていないので、確定情報として扱わない。

「2027年4月から再開」「年内に決定する方針」は共同通信・時事通信の報道に基づく。一次資料(会議資料2-2)に書かれているのは「令和9年度から」までで、月や決定時期は書かれていない。閣議決定が未了という記述は、入管庁の分野別運用方針ページ(11月6日閲覧)の閣議決定欄が令和8年1月23日までであることによる。

一次資料

  1. 第15回特定技能制度及び育成就労制度の基本方針及び分野別運用方針に関する有識者会議
    www.moj.go.jp/isa/03_00204.html
  2. 資料2-2 外食業分野における医療・福祉施設給食業等の飲食料品製造業分野での受入れ(案)について
    www.moj.go.jp/isa/content/001472906.pdf
  3. 資料1-1 特定技能制度及び育成就労制度の分野別運用方針の改正について
    www.moj.go.jp/isa/content/001472909.pdf
  4. 資料3-2 介護分野における特定技能1号・育成就労の受入れ見込数の配分変更(案)について
    www.moj.go.jp/isa/content/001472908.pdf
  5. 特定技能1号(外食業分野)の在留諸申請の審査状況(2026年10月19日掲載)
    www.moj.go.jp/isa/10_00259.html
  6. 特定技能「外食業分野」における受入れ上限の運用について(令和8年3月27日)
    www.moj.go.jp/isa/applications/ssw/03_00001.html
  7. 運用要領別冊(外食業分野の基準について)の一部改正・新旧対照表(令和8年10月26日)
    www.moj.go.jp/isa/content/001473151.pdf
  8. 特定技能制度及び育成就労制度の基本方針・分野別運用方針・運用要領
    www.moj.go.jp/isa/applications/ssw/nyuukokukanri01_00132.html

この解説は2026年11月6日時点の公表資料にもとづいています。制度は変わることがあるため、判断の際は必ず上記の一次資料をご確認ください。内容の正確性や当社の見解を保証するものではありません。

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