留学生の進学指導って?

留学生たちは、将来、大学へ行きたい。日本でビジネスをしたい。など、夢を抱いて来日してきます。しかし一方で、親に言われて日本へ来た。母国で特に何もやりたいことがなかったから来た。など、悪く言えば、無気力で何も考えていない、よく言えば欲がない留学生も見られます。しかしどんな学生でも、留学してきたからには、ビザの期限までに自分で進学するなり、就職するなり、帰国するなりという道を決めなければなりません。

日本語教師は学生の進路の相談にも乗ります。若い日本語教師にとって、そんなに年が離れていない学生の将来に関わるこの業務に違和感を覚える方もいると思います。誰でもはじめは進学先の資料を見たり、ベテランの先生方から情報をもらったりするところからはじまります。大変ですが、進学先を探したり、提出書類のチェックをしたり、学生に寄り添いながら一緒に困難を乗り越えていくことにやりがいを感じることもあります。

進路指導はすべての教師がやらなければならない業務なのかというと、一概にそうではありません。日本語学校によって違います。非常勤講師であっても進路指導しているところ、常勤講師が進路指導を担当しているところ、進学指導担当者がいるところ…と、様々です。そもそも進路指導が必要でない学生しかいない学校もあります。

「自分のこと、どれだけわかってる?」

進学指導の時、教師が学生に時間をかけて考えてほしいのは、志望理由です。どうして○○大学へ入りたいのか。どうして○○専門学校で勉強したいのか。これは留学生自身が考えなければなりません。そうでないと、面接時にボロが出ます。(面接試験がないところもありますが。)

日本語学校で面接の練習をしたことがありますが、質問と答えが合っていなかったり、途中で覚えていたことが吹っ飛んでフリーズしたり、頭から言い直されたりすると、日ごろの授業の指導不足も原因ではと責任も感じます。

面接の練習を指導していて、思ったことがあります。そもそも学生は自分がどういう人間でどんなことに向いているのか。どうして今、自分が日本にいるのか。という根本的なことを考えたことがないのではないかということです。

留学生の多くは年齢が10代後半から20代後半です。若ければ若いほど自分自身のことを見つめたことがなかったり、自分がこうだと思っていても、勘違いだったりします。(外国人や若者が、という話ではなく、自分を100%わかっているという人はいないといったほうが正しいかもしれません。)

日本ではよく、「まわりから見たあなたはこんな人」や「あなたの潜在能力」などゲーム感覚でできるものから、エゴグラムやSPIなどしっかりとした数値やグラフで自分の性格や能力などの傾向を見ることができるものがあります。

留学生たちにも、自分自身を見つめる機会というのを授業内で与えられたらいいなぁと思いました。

日本語で新しい自分を発見!

授業の中で、自分自身を見つめる機会を与えたいなと考えた私は、自分が学生時代にやった「ジョハリの窓」を授業に取り入れてみることにしました。「ジョハリの窓」とは…詳しくはネットでお調べください。笑

人は

①自分と相手が知っている自分

②相手しか知らない自分

③自分しか知らない自分

④自分も相手も知らない自分という4つの窓を持っているのだそうです。

私は、学生たちに自分の②の窓の発見をしてほしいなと思い、性格について話す文型を学習したときに少しやったことがあります。

グループで発表してもらったり、他己紹介してもらったり、そのクラスのレベルにあわせてやりました。言われたことに照れる学生や、反論する学生がいて盛り上がりました。

ちょっと理解が難しいクラスには活動だけで終わらせましたが、わかるクラスには「ジョハリの窓」を紹介したこともあります。外国語で自分の知らなかった自分が発見できたら、けっこう感動しませんか。^