私が420時間を受けた時の恩師は「学生が言っていることがわからないときは、その学生の立場になって考えること」と言っていました。自分が教えている文型を正しく使えるから正解ではなく、学生がちょっと違った文を作っても、学生の頭の中を覗く質問をすることも授業だと教わりました。

ある日、私が古い家の写真を見せると、

学生A「古いです。そして、安いです。」

学生B「古いですが、安いです。」

使える文型が少ないので、もっといろいろな表現で違いが言えればいいのですが、どちらが正しいのか学生同士でちょっともめていました。

さて、どちらが正しいのでしょうか。

学生A「先生、この家は古いです。お金も安いです。古いですから、安いです。」

学生B「先生、この家は古いです。でも、安いですから、私はこの家に住みたいです。」

同じ写真を見ても、見ている学生の初期場面設定の違いで発話が変わります。この学生の頭の中、思考回路がわかったときが教師をしていて面白いと感じる瞬間です。

ちなみに、当日扱うはずだった文型は形容詞のところではなく、「~がほしい」でした。