日本語教育機関の告示基準の改定について(令和元年8月)

令和元年8月1日に改定され,同じく令和元年9月1日より適用された日本語教委機関の告示基準の内容について見ていきたいと思います。何を今更という感はありますが、この改定された告示基準の最初の山場をこれから迎えることになるため、再度見直しておこうと思った次第です。

その山場とは、2020年9月以降から、適正校通知が各校に届くのですが、告示基準改定後初の適正校通知であることで注目度が高いことと、ここでどれだけの校が適正校から外れるかは日本語教員の雇用、また業界自体の将来に大きく関わる重要なターニングポイントになると思われるためです。

・日本語教育機関の告示基準(令和2年4月23日改定)

http://www.moj.go.jp/content/001319084.pdf

・日本語教育機関の告示基準解釈指針

http://www.moj.go.jp/content/001319085.pdf

令和2年4月23日にも改定されたものを添付していますが、令和2年4月23日の改定は内容に大きく影響がでるものではありません。したがって以下で述べるのは令和元年8月1日の改定についてとなります。

大きく分けて

  • 適正校判断基準
  • 在留管理
  • 報告義務
  • 抹消基準

の4つについて書いていきたいと思います。

適正校判断基準

日本語教育機関は出入国在留管理局によって、「適正校」「非適正校」「新設校」などとラベル付がされています。

「適性校」となると、留学ビザ申請時に書類が軽減されたり、最初にもらえるビザの期間が1年3ヶ月となります。

非適正校(新設校も扱いは同じ)は適正校よりも留学ビザ申請時に書類が多く求められ、ビザの期間も6ヶ月しか出ません。

地方出入国在留管理局から,増員前1年以内に,適正校(留学の在留資格に係る在籍者の数に対する,不法残留者の数,在留期間更新許可申請が不許可(修学状況の不良等 在留実績に関するものに限り,当該申請に関し,申請どおりの内容では許可できない旨の通知を受けたものを含む。)となった者の数,在留資格を取り消された者の数,資格外活動の許可を取り消された者の数及び退去強制令書が発付された者の数の合計数の割合が5パーセント(ただし,在籍者の数が19人以下である場合は,当該者の合計数が1 人)を超えていないもの,入管法に定める届出等の義務を履行しているものその他在籍管理上不適切であると認められる事情がないものとして出入国在留管理庁が認めた日本 語教育機関をいう。以下同じ。)である旨の通知を受けていること。 

日本語教育機関の告示基準 第一条八-ニ

これまでは適正校の判定基準として、

  • 不法残留者の数

のみがカウントされており、その人数が在籍学生数に対して3%以内か否かで判断されていましたが(※3%以上5%以内適正校も以前は存在)、令和元年8月1日より、不法残留者の数に加えて

  • ビザ延長不許可
  • 在留資格取消(不法滞在にはなってないが行方不明になって3ヶ月以上経過した学生等)
  • 資格外活動の許可の取消(28時間以上アルバイトをしたり、許可されていない業種のアルバイトをした場合)

の数もカウントされるようになりました。ただし、カウントする対象が増えたせいか、割合の基準が3%以内から5%以内と変更になっております。

この基準となっての初めての適正校通知が2020年9月以降に届くものと思われます。(年々遅くなったかと思えば早くなったりしているので時期は見えません顔概ね4月生の申請日である11月末までにはなんらかのリアクションが出入管庁よりあるものと思われます。)

今年届く適正校通知は2021年4月生の申請から1年間適用されます。今回届く適正校通知の適正校の算定基準期間と計算方法ですが以下の通りとなります。

2019年1月1日〜12月31日までの不法滞在者数等の合計)÷ (2019年1月末時点の在籍者数

例年どんなにしっかりやっている学校さんでも適正校通知が来る時期はドキドキされると思いますが今年は例年以上に心臓に悪そうです。

2019年はちょうど2016年から2018年にかけて急激に増えた某国の留学生が急激にいなくなっていった時期でもあり、そのいなくなった留学生の中には2019年中に在留期限を迎えていた学生も多かったと思います。

今回の適正校通知がもらえるかにおいて最も心配となるのはこの部分だと思います。

この改正により、日本語教育機関はこれまで以上に特にアルバイトの管理を厳格にしなければならなくなりました。

在留管理

1ヶ月の出席率8割未満の学生への指導の徹底

1か月の出席率(その月に出席した単位時間数を出席すべき単位時間数で除した数 をいう。以下同じ。)が8割を下回った生徒(留学の在留資格をもって在留する者に限る。)については,1か月の出席率が8割以上になるまで改善のための指導を行い,その指導の状況を記録するとともに,当該記録を当該生徒が在籍しなくなってから少なくとも1 年を経過するまで保存することとしていること。ただし,疾病その他のやむを得ない事由 により欠席した生徒についてはこの限りでない。

日本語教育機関の告示基準 第一条三十七

令和元年9月1日より、生徒が在籍してから1年後まで保存することと新たに加わりました。これまでは指導の指示のみで、記録の保存について指示、また期間の指示はありませんでした。

これは元々大体の日本語学校が指示されずともやっていたことのように思われます。

1ヶ月の出席率5割未満の学生の報告の徹底

1か月の出席率が5割を下回った生徒(留学の在留資格をもって在留する者に限 る。)については,当該生徒が資格外活動の許可を受けている場合は当該許可に係る活動を 行う本邦の公私の機関の名称と併せて,その翌月末までに地方出入国在留管理局に対し当 該生徒について報告することとしていること。ただし,疾病その他のやむを得ない事由に より欠席した生徒についてはこの限りでない。

日本語教育機関の告示基準 第一条三十九

1ヶ月の出席率が5割を下回った学生について、出入国管理局に翌月末までに報告というのは従来からありましたが、令和元年8月1日より、その学生がアルバイトをしている場合はそのアルバイト先の名称とともに出入国在留管理局に報告しなければならなくなりました。

学生のアルバイト管理の徹底

生徒の在留期間並びに資格外活動の許可の有無及び内容を把握し,出入 国管理法令に違反しないよう適切な助言及び指導を行うこととしているこ と。また,資格外活動の許可を受けている生徒(留学の在留資格をもって在 留する者に限る。)に対して当該許可に係る活動を行う本邦の公私の機関の名称の届出を求めることとするとともに,届出のあった内容を当該生徒が在 籍しなくなってから少なくとも1年を経過するまで保存することとしている こと。

日本語教育機関の告示基準 第一条四十

従来は学生のアルバイトをしっかりしなさいという文言だけでしたが、令和元年9月1日より、学生からアルバイト先の届け出を求めるとともに、学生の卒業後1年後まで記録を保存するようにと加えられました。

とはいうもののやはりこれも大体の日本語学校が言われなくてもやっていたことと思われます。

学習成果管理の徹底

各年度の課程修了の認定を受けた者(留学の在留資格をもって在留して いた者であって,令和元年10月1日以降に入学した者に限る。以下同じ。)の うち,大学等への進学者の数,入管法別表第1の1の表若しくは第1の2の表の上欄の在留資格(外交,公用及び技能実習を除く。)への変更を許可された者の数,日本語能力に関し言語のためのヨーロッパ共通参照枠(CEFR)のA2相当以上のレベルであることが試験その他の評 価方法により証明された者の数及び当該者の合計数について,修業期間の終期の翌年度の6月末までに地方出入国在留管理局に報告し,公表するとともに, 当該合計数が各年度の課程修了の認定を受けた者の7割を下回るときは,改善方策を地方出入国在留管理局に報告することとしていること。

ただし,各年度の課程修了の認定を受けた者には,各年度の課程修了の認定を受けず退学した者(留学の在留資格をもって在留していた者であって,令和元年10月1日以 降に入学した者に限る。)であって,大学等への進学者,入管法別表第1の1の 表若しくは第1の2の表の上欄の在留資格(外交,公用及び技能実習を除く。) への変更を許可された者又はCEFRのA2相当以上のレベルであることが試 験その他の評価方法により証明された者のいずれかに該当することが確認できたものについては,これを含むこと。 

日本語教育機関の告示基準 第一条四十四

令和元年9月1日より新設された項目です。

  • 大学院、大学、短大、専門学校(研究生・科目等履修生は除く)
  • 技術・人文知識・国際業務、経営・管理、特定技能へのビザ変更
  • CEFR A2以上(JLPT N4相当以上)

上記の合計が卒業生の7割以上であることが求められます。(当然述べではなくどれか一つを満たす学生が卒業生の7割以上)

これが加わったことにより、日本語教育機関によっては日本語能力試験等の試験の受験を学生に半強制的に受験させることも増えてきました。

報告義務

告示基準への適合性への点検報告提出義務化

この基準への4月1日時点における適合性について,点検を行い, その結果をその年の6月末までに地方出入国在留管理局に報告(適正校である旨の通知を3年間連続して受けている機関(設置者の変更に係る承認を受けた日から通算して1年を経過していない機関を除く。)にあっては前回の地方出入国在留管理局への報告から3年後の6月末までに直近の点検結果を報告)するとともに,確認に使用した資料を報告から少なくとも3年を経過 するまで保存することとしていること。

日本語教育機関の告示基準 第一条四十五

わかりにくくなっているので青の部分は抜いて読んでください。

令和元年9月1日より、従来はなかった、告示基準に適合しているかの点検報告が毎年必要となりました。なお3年連続適正校となっている学校は3年に1回で可となっています。(設置者が変わった場合を除く)

全学生の出席率の年2回報告を義務化

全ての生徒(留学の在留資格をもって在留する者に限る。以下この号において同じ。)の6か月間の出席率(4月1日から9月30日まで又は 10月1日から翌年の3月31日までの期間に出席した単位時間数を出席す べき単位時間数で除した数をいい,令和元年10月1日から令和2年3月31日までの期間以降のものに限る。以下同じ。)及び当該期間における個々の生徒ごとの月単位の出席状況について,それぞれの期間の経過後3か月以内に地方出入国在留管理局に報告することとしていること。

日本語教育機関の告示基準 第一条四十六

これもわかりにくいのでとりあえず青は除いて読んでください。

令和元年9月1日より従来はなかった、全学生の出席率(6ヶ月の総計および月単位の出席率)を年2回(4月〜9月分、及び10月〜3月分)しなければならなくなりました。

抹消基準

抹消基準というのは以下の基準に反したら、告示を取消す=留学生を受入れることができなくなる、ということです。これらも令和元年8月1日に改正されましたが、普通にやっている日本語学校であればまず問題はないと思われます。

出席率

全ての生徒(留学の在留資格をもって在留する者に限る。)の6か月間の出席率の平均が7割を下回るとき。

日本語教育機関の告示基準 第二条三

令和元年9月1日より、それまで5割だったものが7割と厳しくなりました。

オーバーステイ発生


一暦年中に入学した者(留学の在留資格をもって在留する者に限る。)の3割以上が,在留期間の更新又は変更を受けないで在留期間を経過して本邦に在留するに至ったとき。

日本語教育機関の告示基準 第二条四

令和元年9月1日より、それまで半数だったものが3割と厳しくなりました。

学習成果

各年度の課程修了の認定を受けた者のうち,大学等への進学者の数,入管法別表第1の 1の表若しくは第1の2の表の上欄の在留資格(外交,公用及び技能実習を除く。)への変 更を許可された者の数及び日本語能力に関しCEFRのA2相当以上のレベルであること が試験その他の評価方法により証明された者の数の合計数の割合が,3年間連続して7割 を下回るとき。 

日本語教育機関の告示基準 第二条六

令和元年9月1日より新設された項目です。まぁよほどでないかぎり7割は超えてくると思います。

まとめ

別の記事では留学ビザ審査は必ずしも厳格化しているとは言えない、と書きましたが、令和元年8月1日に改正された日本語教育機関の告示基準を見るに、日本語教育機関そのものの管理はかなり厳格化されています。

入口はわりと優しく、入った後は厳しくというのは人によっては「たくさん留学生を入れさせておいて、管理しきれない日本語教育機関を潰していこう」という入管の姿勢ととるでしょうね。

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