はじめに
現在各日本語教育機関におかれましては、オンライン授業導入に際し学生の通信環境、通信量の問題に直面している事かと思います。
ここ数日で通信キャリアおよびMVNO業社が相次いで支援策を発表したことにより、通信量の問題についてある程度見通しがついた気がする(かなりポジティブな見方ですが)ので共有いたします。
当記事は2020年4月7日に書いたものなのでこの日以降、状況が変わる可能性があるのでご注意ください。(5月7日更新)
学生の通信量問題は(ある程度)解決?
上記の通り、3社合計で8割以上のシェアを占めるドコモ、au、ソフトバンク、及び、MVNOの中で比較的利用者の多い楽天モバイル、UQモバイルの利用者は通信量の心配がある程度解消されたこととなります。
キャリア3社の発表が4月3日、それに続き、UQモバイルが4月6日に発表したことから今後残りのMVNO業社が追随する可能性もあると思います。
オンライン授業を導入するにあたり、まずは
- 在籍する学生のスマートフォン、タブレット、PCの有無
- 在籍する学生の固定回線または通信量制限のないモバイルWIFIの有無の確認
- 在籍する学生の携帯電話の契約先
を確認し、通信状況に問題のある学生の洗い出しがまず必要な作業になると思われます。あとは25歳以上の学生も結構いると思うので、その対応ですね。
※4/9追記 その後mineo,OCN,IIJmio,BIGLOBEモバイルも相次いでデータ追加通信量無償化を発表しました。
参照
https://www.nttdocomo.co.jp/info/notice/page/200403_00.html(NTTdocomo)
https://news.kddi.com/kddi/corporate/newsrelease/2020/04/03/4364.html(KDDI)
https://www.softbank.jp/corp/news/info/2020/20200403_01/(Softbank)
https://network.mobile.rakuten.co.jp/area/cover/(楽天モバイル)
https://king.mineo.jp/magazines/special/1318(mineo)
https://www.iijmio.jp/info/iij/1586314801-1923.html(IIJmio)
https://www.biglobe.co.jp/pressroom/release/2020/04/200408-a (BIGLOBEモバイル)
https://k-tai.watch.impress.co.jp/docs/news/1245979.html(OCNモバイル)
http://mobile-blog.line.me/archives/34882721.html(LINEモバイル)
1ヶ月50GB(30GB)で足りるのか?
では次に、1ヶ月、50GB(30GB)という通信量で学生がオンライン授業が1ヶ月受講できるのかについてみていきたいと思います。
東京大学大学院人文社会系研究科の大向一輝准教授が下記ページにてzoom、Hangouts Meetの通信量の実験をしてくださっていました。
- 画面共有(PowerPoint)+音声
- カメラ映像+音声
- 音声のみ(講師のみ発言)
- 音声のみ(受講者の発言可)
それぞれの場合の1時間あたりの目安の通信量を測ってくださっています。
https://scrapbox.io/utdh/オンライン講義の通信量
なお、上記HP、引用はご自由にとのことでしたのでありがたくさせていただいているのですが、下記Youtubeチャンネルにチャンネル登録してくれると大変うれしいですとのことです。
以下、あくまでも簡易な調査による参考値であることをご了承ください。実際の通信量がこの調査結果以上になる可能性は当然あります。
zoomの調査結果
※引用
Google Hangouts Meetの調査結果
※引用
なお参考までに下記記事にて各Web会議システムの1時間あたりの通信量の参考値が掲載されています。
https://www.wimax-speed.com/2018/07/01/web_kaigi/
上記サイトによると各web会議システムの1時間あたりの通信量の目安は
- zoom 約200MB-300MB
- Skype 約2GB
- hangouts 約1.5GB
- LINE 約300MB
とのことです。zoomについては先述の実験とほぼ同じ、hangoutsはこの記事では実験よりも多めとなっています。
各配信状況における通信量の目安
上記HPの結果から、zoom使用下における日本語教育機関の学生の1ヶ月あたりの通信量を推定すると
通信量追加の無償提供等が受けられる場合なら、仮に実際にもう少し通信量がかかる場合でも後述の通信量を抑える工夫もすればなんとか足りそうな結果が出ました。(ここではzoomの試算のみを出しましたが、hangoutsに関しても、カメラ映像で720pの高解像度を使わない限りほぼ同じ数値になると思われます。)
※月間の授業日数が22日になるのは基本的にどこの日本語学校も各学期に1回のみだと思います。概ね、4月-15日前後、5月-15日前後、6月-20日前後となると思われます。
オンライン会議システムの通信量を減らすために
とは言いつつも、やはり通信量の上限は心配になります。以下の事に気をつけてできるだけ通信量を抑える努力もやはり必要だと思われます。
教員側の設定
- 特に必要のない場合、講師のカメラはOFFにする(画面共有時など)
- 映像を使用する場合、解像度が選択できるなら最も低いものにする(Hangoutsの場合360p)
学生側の設定
- 特に必要のない場合、教員のカメラ映像のウインドウサイズは最小にする
- 出欠確認時等を除き、自分の映るカメラはOFFにする
- ギャラリービュー(zoom)等、全受講者の顔が見えるモードもOFFにする
- 映像を使用する場合、解像度が選択できるなら最も低いものにする(Hangoutsの場合360p)
おわりに
なんとなく学生の通信量の問題は解決しそうだと楽観的な見方をしているのですが、現在、コロナ前と比べ、世界全体のインターネットの通信量が4割増えているそうです。
現在すでにWeb会議システムに限らず様々なWebサービスでトラブルが毎日のように発生しています。これは世界のインターネット通信量増加により、インターネット回線自体がパンク気味なためです。
4月以降、小中高大学のオンライン授業の開始、また企業のリモートワークの増加によりさらにインターネット回線への負担の増加が確実な状況です。
と、心配はつきませんが、なんとか学生に授業が提供できるように、苦しい状況の中でも最善が尽くせるように願っております。
株式会社トレデキム 関 行太郎