10月1日より入国制限緩和
新規入国の枠組みについては、これまでビジネス上必要な人材に限定しておりましたが、留学や家族滞在などの分野にも拡大します。
また、世界各国・地域からの新規入国についても、一定の要件を課した上で、順次認めることとし、これらの措置について、10月1日から実施することとします。
首相官邸ウェブサイト 新型コロナウイルス感染症対策本部(第43回)
続いて、9月28日に入管庁から、9月30日には外務省からそれぞれ「国際的な人の往来再開に向けた段階的緩和措置」について発表があり、措置の全体像が見えてきました。
これから日本へ入国する留学生と、留学生を受け入れる日本語教育機関が何をしなければならないのかについてここでは書いていきたいと思います。
日本語教育機関は防疫措置を確約する
令和2年9月25日、日本国政府は、同年10月1日から、ビジネス上必要な人材等に加え、順次、留学、家族滞在等のその他の在留資格も対象とし、原則として全ての国・地域からの新規入国を許可することを決定しました(防疫措置を確約できる受入企業・団体がいることを条件とし、入国者数は限定的な範囲に留める)。
外務省ウェブサイト 国際的な人の往来再開に向けた段階的措置について
日本語教育機関が外国から新たに留学生を受け入れるためには防疫措置を確約することが条件となっています。
その防疫措置の確約は、受入機関が誓約書を記入し、留学生が入国する際にその誓約書を提出することによって行われます。誓約書の内容はこちら
誓約内容
注目すべきは、「1-(2)誓約内容」及び「2 防疫事項」です。まず、誓約内容は次の通りとなっています。
ア 対象者の訪日目的が真に急を要し、必要不可欠なものであること。
イ 対象者が、入国前14日以内に出入国管理及び難民認定法(昭和26年政令第319号)に基づく入国拒否の対象地域(出発国・地域を除く。)に滞在歴がないことを保証すること。(注) (注)出発国・地域から訪日する途中で入国拒否の対象地域を経由する際、当該国・地域に入国・入域 許可を受けて入国・入域している場合は、滞在歴があるものとします。
ウ 対象者に対し、本邦入国後に厚生労働省の要請に従った行動をとらせ、そのために必要な管理を行うこと。
エ 対象者に対し、新型コロナウイルス感染症の感染拡大につながるおそれのある対人接触や行動を行わないよう指導及び監督すること。
オ 対象者が、上記ウの厚生労働省の要請に反する行動をとった場合又は上記エの指導若しくは監督に従わない場合には厚生労働省検疫所業務管理室に対して、また、新型コロナウイルス感染症の疑いのある症状を有することが確認された場合には、対象者の自宅又は宿泊場所を管轄する保健所に対して、直ちに報告するとともに、日本国政府の関係当局の指示に従うこと。
防疫事項
この誓約事項を守るために入国する留学生と日本語教育機関が、具体的に何をしなければならないかは次項の「2 防疫事項」に記載されています。
(1)対象者が入国拒否の対象地域から入国する場合
ア 対象者は、入国前14日間、検温を行い、仮に発熱や呼吸器症状、倦怠感等を含む新型コロナウイルス感染症の症状が認められる場合には、本邦への渡航を中止すること。
イ 対象者は、現地出発前72時間以内に新型コロナウイルスに関する検査を受け、所定のフォーマットを用いて現地医療機関から「陰性」であることを証明する検査証明を取得し、本邦入国時には検疫官及 び入国審査官に対し、当該証明又はその写しを提示・提出すること。また、対象者は、入国審査官に 当該証明又はその写しを提出できない場合には、出入国管理及び難民認定法の規定に基づき、入国拒否の対象となることについて理解すること。
ウ 対象者は、入国時に、民間医療保険(滞在期間中の医療費を補償する旅行保険を含む。)に加入していること。
※コロナ治療費の補償が目的ではなく無保険期間をカバーするための保険
エ 対象者又は受入企業・団体は、入国時に、対象者又は受入企業・団体が使用するスマートフォンにLINEアプリをインストールし、また、入国後 14 日間毎日、同アプリを活用し、対象者の自宅又は宿泊場所を管轄する保健所に対象者の健康状態の報告を行うこと。
※入国後14日間とは「入国した次の日から起算して14 日間」以下同様。つまり15泊必要です。
オ 対象者は、入国時に、携行するスマートフォンに、厚生労働省が指定する接触確認アプリを導入し、また、入国後 14 日間、同アプリの機能を利用すること。
カ 対象者は、入国時に、携行するスマートフォンの地図アプリ機能等を利用した位置情報の保存を開始し、 また、入国後 14 日間、位置情報を保存すること。
キ 対象者は、入国時、新型コロナウイルス感染症の検査を受け、その結果が判明するまで、検疫所長が指示した待機場所に留り、他の者と接触しないこと。
ク 空港外の検査結果待機場所が必要な場合、待機場所は自宅又は受入企業・団体が確保した施設とし、その費用は受入企業・団体が負担すること。
ケ 対象者は、入国後14日間、移動手段を下記のいずれかに限ること。(・自家用車 ・受入企業・団体所有車両 ・レンタカー ・ハイヤー)
コ 対象者は、検査結果判明後は、入国後14日間、自宅又は宿泊場所で待機することとし、不特定の者との接触を行わないこと。
※外出不可
※食事はデリバリーサービスの利用推奨
※宿泊施設は宿舎などのトイレやお風呂など、複数の人が共同で使用する場所がある施設は宿泊場所として対象外
サ 入国後14日以内に対象者が有症状となった場合、受入企業・団体は、速やかに対象者の自宅又は宿泊 場所を管轄する「帰国者・接触者相談センター」に電話連絡し、滞在していた地域を伝え、対象者を指定された医療機関に受診させること。
シ 入国後14日以内に対象者が陽性となった場合、対象者及び受入企業・団体は、スマートフォン等に保 存した入国後の位置情報を速やかに管轄保健所に提示するなど、その調査(感染症の予防及び感染症 の患者に対する医療に関する法律第 15 条に基づく積極的疫学調査)に協力すること。
ス 受入企業・団体は、対象者が上記(1)カの位置情報の保存を行うこと及び上記(1)シの調査への協 力として必要な情報提供を求められた際には位置情報を提示することにつき、あらかじめ対象者本人 の同意を書面でとりつけておくこと。
セ 受入企業・団体は、下記の感染防止対策を徹底すること。 対象者及び接触者の1マスク着用、2手指消毒の徹底、3「3密」を避ける
ソ 対象者は、上記の同意事項に反したことが明らかとなった場合等、不実の記載のある文書等により査証又 は再入国関連書類提出確認書の申請を行い上陸許可を受けたと認められる場合には、出入国管理及び 難民認定法の規定に基づく在留資格取消手続及び退去強制手続の対象となり得ることについて理解す ること。
入国しようとする留学生が誓約事項に違反すると在留取消となる恐れがあります。
(2)対象者が入国拒否の対象地域ではない国・地域から入国する場合
防疫事項については(1)と重なる部分が多いので省きますが、(2)の場合、
- 出発前に新型コロナ感染検査を受けることと陰性証明書を提出すること
- LINEアプリによって入国後待機中の14日間、毎日保健所に健康状態を報告すること
- 接触確認アプリの利用(推奨はされています)
- 地図情報アプリを用いた位置情報の記録(推奨はされています)
- 日本入国後の新型コロナ感染検査の受診
- 有症状となった時の「帰国者接触者相談センター」への連絡
等は不要となっています。なお日本への留学生が多い国では、モンゴル、ミャンマー、カンボジア等が現在入国拒否の対象となっていません。
罰則
誓約に違反した場合、関係当局により企業・団体名が公表され得るとともに、今後当 企業・団体の招へいする者に対し、本件措置に基づく本邦入国が認められないことがある
誓約に違反すると、関係当局とは日本語教育機関の場合は恐らく出入国在留管理庁となりますから、出入国在留管理庁により、機関名が公表される可能性があります。
また今後、「国際的往来再開に向けた段階的緩和措置」を利用して入国しようとする留学生が入国できなくなる恐れがあります。