「日本語教育機関の類型化」という言葉、初めて聞く人も多いかもしれませんが、実はこの「日本語教育機関の類型化」、公認日本語教師以上に、日本語教師、日本語学校ともに影響を与えるものだと私は思っています。

現在、公認日本語教師の制度化が進まない原因のひとつに、「日本語教師の業の範囲の定義が明確ではない」ということがあります。この「日本語教育機関の類型化」がなされることによって「日本語教師の業」も明確化されるのではということで、現在、公認日本語教師と日本語教育機関の類型化がセットで検討されています。

この「日本語教育機関の類型化」の説明と現在の検討状況について書いていきます。

日本語教育推進法における日本語教育機関の類型化

まずは日本語教育推進法の附則、第二条を見ます。太字部分が重要です。

(検討)

第二条 国は、次に掲げる事項その他日本語教育を行う機関であって日本語教育の水準の維持向上を図るために必要な適格性を有するもの(以下この条において「日本語教育機関」という。)に関する制度の整備について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする

一 日本語教育を行う機関のうち当該制度の対象となる機関の類型及びその範囲

二 外国人留学生の在留資格に基づく活動状況の把握に対する協力に係る日本語教育機関の責務の在り方 

(以下略)

日本語教育推進法 附則

条文を、現代語に翻訳すると、

ちゃんとやってる日本語学校はどの学校か、誰が見てもわかるようにしないとね

ということです。ちゃんとやってる日本語学校はどの学校が、誰が見てもわかるようにするために「日本語教育機関の類型化」をしようということです。

「日本語教育機関の類型化」の検討状況

現在公に公開されている情報として、

2020年10月21日の第13回日本語教育推進議連総会

2021年1月25日の第2回日本語教師の資格に関する調査研究協力者会議

があります。

現在の論点をかいつまみますと

制度化の目的

「ちゃんとやってる」というのはつまり

  • 日本語教育機関の最低限の質を保証するための制度
  • 高い質を持つ日本語教育機関を選定するための制度

のどちらにするか、という議論

評価の仕組み

「最低限の質を保証するための制度」だとしても「高い質を持つ機関を選定するための制度」だとしても、評価基準が必要です。どんな評価項目を作るか、誰が評価をするかという議論。

日本語教育機関の類型と主な想定機関

留学生を受け入れる日本語学校、生活者のための日本語教室、ビジネスパーソン向けの日本語学校等々、それぞれで、「ちゃんとやってる」基準は異なるので現在以下のような類型が想定されています。

  • 「留学」→法務省告示日本語教育機関(別科は含めるか)
  • 「就労」→就労者向けの日本語教育を行う機関
  • 「生活」→公的な性質を持つ地域の日本語教室(ボランティアなども含めるか)

会議の配布資料でも言及されていますが、「就労」も「生活」は実施形態が多様で、類型化というのは本当に大変な作業だと思います。

「日本語教育機関の類型化」は日本語学校にはどんな影響を与えるか

検討の進み方によっては、以下のようなことが起こりえます。

  • 日本国内の留学生を受け入れる日本語学校に限らず、すべての日本語を教える機関が、三ツ星、二つ星、一つ星、星無しのようなランク付けがされる可能性がある
  • 三ツ星の学校は学生にも教員にも人気が出て、教員の採用条件なんかも厳しくなったりする可能性がある
  • 学習者にとっても、国が日本語教育機関の類型化をしてくれることで、よい学校を選びやすくなる(これが国のこの制度設計の主目的のはずです)
  • 「日本語教育機関の最低限の質を保証するための制度」となった場合はぶっちゃけ法務省告示日本語教育機関と何が違うのか
  • 要は法務省告示日本語教育機関以外の地域の日本語教室や、ビジネスパーソン向けの日本語教育機関までも、法律による規制を受けることになる

このように、これからの日本語教育機関のあり方に大きな影響を与える制度だと思います。だからもう少し関心を持ちましょうよ!という記事でした。

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