日本語教育機関の今後を考えるための材料

目次

  1. 留学ビザ厳格化
  2. 他国の留学生受入事情
  3. 日本への入国規制
  4. 特定技能の動向
  5. 日本語教育機関苦難の歴史

留学ビザ審査厳格化

巷では留学ビザ審査厳格化なんてニュースが流れており、おお、入管やってるねぇという印象、世間一般の人は思うのかもしれないのですが果たしてそれはどうかと思っています。

最近、下記記事で書きましたので詳しくはこちらを。

結論としては厳格化しているとは一概に言えないと思います。

記事内でも書きましたが、入口よりも入った後の管理が厳格化されている印象ですが、そこにはメディア等ではあまり触れられることはありません。

他国の留学生受入事情

去年、下記記事で書きましたので詳しくはこちらを。

結論としては、中国人留学生についてのみですが、留学先人気国が受入に障壁を抱えている状況なので、日本はチャンスだと思っています。

留学エージェントはどうみているか?

・日本希望はコロナ影響で2ー3割減 (留学自体は諦めていない)

・回復までに2ー3年を要する

・入国待ちの中でキャンセルは1割

・そしてやはりアメリカから日本に鞍替えする人が多い

6月18日 日本経済新聞

米中関係の悪化

  1. 貿易摩擦による関税合戦
  2. 新型コロナウイルスに対する中国の対応
  3. 香港の国家安全法導入

主にこの3つの問題で、米中関係は悪化のリスクを抱えています。日本は立場を間違えるとアメリカか中国にそっぽを向かれてしまうことになります。日本語教育機関的に言うと中国にそっぽを向かれてしまうことはやめてほしい思うところが多いでしょうが…

1の報復関税合戦は2019年末にかけてかなり落ち着いた印象ではあります。現在は両国ともコロナウイルスの対応で手が回らない状況のため、落ち着いた時にどうなるかは心配ですし、日本語教育機関にも影響を与えることだと思っています。

日本への入国規制について

目下、日本語教育機関にとって最大の問題はこれです。

タイ・オーストラリア・ニュージーランド、ベトナムの4カ国に限り今夏から段階的に入国制限を緩和と発表がありましたが、6月11日(木)の報道ですと、4カ国合計250人(うち50人は帰国日本人)とかなり小規模な数字となっています。

参考までにJETROの発表によると2019年のベトナム人の訪日総数は49.5万人で、それを365日で割ると、平和な頃は1日1356人ベトナム人が来日していたこととなります。緩和が始まっても250人のうちベトナム人はせいぜい50人程度でしょうし、当初は従来の3%(50÷1356)程度しか入国できないということになります。

一方で、留学生はビジネス客と研究者の次の段階で緩和するとの検討に入ったという情報もあり、留学生の入国解禁は早い段階で来るかもしれないという期待はあります。

また日本語教育機関6団体も懸命に入国制限の早期解除の要望を政府へ伝えてくださっています。

ただ上記の状況から察するに4月生、7月生及び10月生の10月までの全員の入国は依然厳しい状況なのではと思います。

ワクチンの開発

ワクチンの開発の状況は注視すべきです。海外では2020年9月の20億回分のワクチン実用化に向けて動いているアストラゼネカ、日本では2020年年内に100万回分のワクチン実用化に向けて動いているアンジェスの動きを見ていれば良いと思います。

特定技能の動向

2020年3月末時点で特定技能ビザで日本に在留している外国人の数は3987人でした。当初政府が掲げた5年間で34万人という数値見込に対してわずか1%ほどしかありません。政府もあの手この手で特定技能を増やそうとしています。

短期滞在及び失踪してもとりあえず在留資格があれば受験可能へ

http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri01_00135.html

日本語学校卒業後の就職活動を想定した特定活動ビザを交付(現在は学士要件)

http://www.moj.go.jp/content/001314645.pdf

自民党がコンビニの特定技能対象業種追加を提言

当初は留学生から人を奪うと危惧されていた特定技能ですが、コロナの影響を抜きにしても今のところは日本語学校の脅威とはなっていません。

ただし大幅な制度緩和等が起き、特定技能ビザ交付数が急激に伸びればやはり日本語学校の脅威となる可能性はあります。

日本語教育機関苦難の歴史

2003年〜2005年のビザ交付率悪化

https://www.nisshinkyo.org/article/pdf/20200304s.gaikyo.pdf 

留学生数一時ピークであった平成15年(2003年)の42729人から平成17年(2005年)25860人まで落ち込んでいます。

この期間の留学生の減少は、当時の入国管理局が留学ビザの交付率を一気に下げたためで、主に2002年の酒田短期大学事件、また2003年の留学生による殺人事件が原因と言われています。

この時には平成15年の機関数408から平成17年の383と、日本語教育機関が倒産ラッシュに見舞われたかというとそうでもない数字となっています。ただし、存続はしても休眠となった機関も多いはずなのでここはなんとも言えません。

2004年〜2008年にかけては、当時の1年の留学生総数より多い55000人が失われたことになります。再び留学生数が上昇に転じるまで2年、学生数をピークに戻すまでは5年かかりました。

現時点ではこの2004年のショックの方がコロナショックよりも大きかったと判断しています。あくまで現時点。

そして2009年〜2010年やっとビザ交付率悪化の悪夢が過ぎ去ったと思ったら…

2011年〜2012年原発事故の影響

注1)及び注2)日振協は2010年の事業仕分ののち、離脱する日本語教育機関が増えたためこの留学生数の数字の実態性は?と思ったのですが、JASSOの平成24年の日本語教育機関の留学生数を見ると24092人となっておりよくわからなくなったのでそのまま日振協の数値を使用しました。2014年はJASSOの数字を使用しています。

留学生数は原発事故の前年である平成22年(2010年)、再び一時ピークに近い、43669人となっていました。しかしながら原発事故の影響により、帰国する学生、入学をキャンセルする学生が多発し、平成24年(2012年)29235人まで減少しています。

またこの時も日本語教育機関の数はほとんど変化がありません。

2011年〜2013年にかけては、3年間で、約30000人が失われたこととなります。再び留学生数が上昇に転じるまで2年、留学生数をピークに戻すまでは3年かかりました。

今後の日本語教育機関の留学生数の予測

※あくまで予測です

楽観的に見積もった場合

少し悲観的に見積もった場合

2020年1年で業界全体で概ね300億円ほどの経済損失ということになりそうです。

定員に空きがあり、ビザの交付率も悪くない状況でも、その時日本に来たいという留学生の数が定員の数だけいるわけではないので、今回、コロナ前の8.3万人という数字まで戻るには最低2年はかかるのではと推測しています。

ただしその時、米中関係がどうなっているか、特定技能に留学生がすべて取られている可能性もあれば、当然入管が留学ビザの交付率を下げる可能性もあります。

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